1の180乗根...の他の累巡回拡大を探す

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固定する元が共通で巡回する写像を探す

1の180乗根...を累巡回拡大で表すでは書籍Iに従って、中間体としてℚ(ζ5)とℚ(ζ45)を考えました。では他拡大体で中間体として累巡回拡大を考えることができるでしょうか。

1の180乗根...固定体と巡回の一覧にある、「各写像が固定する元の一覧」の1行目は、

σ7| 30 60 90 120 150

です。これはσ7が、ζ30 ζ60 ζ90 ζ120 ζ150 を固定する(自分自身に写像する)ことを言っています。

これを逆に、ζ30 から始まる30ごとの元(その数5個)を固定する変換が、σ7 など6個あるとまとめたものが下表です。

ζ30-5| 	7 43 67 79 103 139

となっていますね。-5はζ30 から始まる元の数です。

この数をクリックすると、σを生成元としたときの巡回群が下部の表に入って、上の表の相当する数字の背景色が変わります。

先頭生成元の選択追加固定要素全体を巡回するか mφ(m)φ(n)/φ(m)
ζ2-89 91.. ...... .○2で巡回9030-
ζ3-59 61121. ...... .○3で巡回6020-
ζ5-35 3773109 ...... .○37,73は、4で巡回361248/12=4
ζ6-29 31151... .... 23○6で巡回30848/8=6
ζ9-19 41101161 ...... ζ3○41,101は、6で巡回20848/8=6
ζ10-17 19127163 ...... 25✗4や2で巡回18648/6=8
ζ15-11 134997 133157169 ... 35○13,97,133,157は、12で巡回12448/4=12
ζ18-9 1171131 ...... 2369○11,131は、6で巡回10448/4=12
ζ30-5 74367 79103139 ... 23561015✗12や6で巡回 6248/2=24
ζ45-3 172953 7789113 137149173 35915✗12〜2で巡回4248/2=24
ζ90-1 234759 83107119 143167179 +all✗12〜2で巡回2148/1=48
...... ......

ℚ(ζ)/ℚ(ζ30) を考えてみましょう。この拡大体のガロア群の元はζ30を固定します。(ζ30を固定すると当然ζ6090,...)も固定されます) 面倒なことに、ζ2を固定するものもζ30を固定しますから、これも元になります。それが[追加固定要素]欄の+ζ2です。

ℚ(ζ)に作用するℚ(ζ30)の元を不変にする同型写像が、すべて自己同型写像になるとき、この自己同型写像群がガロア群です。

これが今は巡回することを確認します。7の欄をクリックすると、<σ7>が表示され、相当する欄の背景色が変わります。これで固定する元全部を巡回していれば一番外側の拡大体の巡回する自己同型写像群の候補が見つかったということになります。[全体を巡回するか]の欄で軽く評価しています。クリックの結果と比較して確認してみてください。

では、自己同型写像群の位数がどれだけかということですが、すでに経験のあるℚ(ζ)/ℚ(ζ5)では4でした。これはℚ(ζ)/ℚが48で、ℚ(ζ5)/ℚが12だったことから、48÷12=4ということだとわかります。ℚを元にした拡大次数はφ(m)で出せますから、48/φ(m)で計算した値を表に加えておきました。

見つかった最初の巡回群

ということで、現時点で使えそうなのは、

ζ5 を固定する σ37, σ73
ζ6 を固定する σ31, σ151
ζ9 を固定する σ41, σ101
ζ15 を固定する σ13, σ97, σ133, σ157

です。

「1の180乗根...を累巡回拡大で表す」にある「各拡大のガロア群の積がℚ(ζ)/ℚのガロア群を作ることの確認」でやったように、これを3段階にして、いろいろ組み合わせるようにしてみます。

巡回群の組み合わせ

固定するζの指数を選択すると対応する写像の一覧がでます。中のひとつを生成元に選択すると、生成される写像が一覧になります。固定する指数と生成元の組を3つまで選択できます。

ℚ(ζ)/ℚ

固定するζの指数

23569101518304590clear

生成元の選択 σi

................................................

写像 σis

................................................

ℚ(ζ)/ℚ

固定するζの指数

23569101518304590clear

生成元の選択 σj

................................................

写像 σjt

................................................

ℚ(ζ)/ℚ

固定するζの指数

23569101518304590clear

生成元の選択 σk

................................................

写像 σku

................................................

3つの写像を掛け合わせて合成される写像。合成される写像の数は .

17111317192329
3137414347495359
6167717377798389
9197101103107109113119
121127131133137139143149
151157161163167169173179

3つの写像の計算(σis×σjt×σku 添字をmod180で見る)で出てきた元(添字だけ表示)の背景色が緑色になり、合成される写像の数が示されます。48個全部に緑色がついて、数が48になると成功です。

背景色がつかない写像がある場合は、合成される写像の数が48であっても、ℚ(ζ)/ℚの拡大で存在するはずの自己同型写像が全部出てこないということです。

全部色がついても紫色になる場合は、合成される写像の数が48より多くなっているはずで、同じ変換が複数出てきたということになります。

説明と考察

ℚ(ζ)/ℚの表示が、固定するζの指数を選択すると変化します。たとえば一番上で5を選択するとℚ(ζ)/ℚ(ζ5)となります。次に2段目で45を選択すると、ℚ(ζ5)/ℚ(ζ45)となるように、当初は考えていたのですが、計算ででてくるものはもともとℚ(ζ)/ℚ(ζ45)で考えたものであって、ℚ(ζ5)/ℚ(ζ45)ではありません。

逆に最初に45を選択して、2段目で5を選択しても、その解釈は面倒になりますが、積は同じものになってしまいます。σの積は順序によりませんし、体の拡大も拡大の順序によりません。

ℚにζ45を加えてから、ζ5を加えるのは意味がありますが、逆にζ5のあとにζ45を加えるのは意味がありません。ζ45は(ζ5)5で表現できるからですが、にもかかわらず最終的にできるものがℚ(ζ5)という点では同じだ、という所に手がかりがあるのかもしれません。

ということで、このプログラムではガロア拡大の表示は、全部ℚ(ζ)/ℚ(ζn)というようにしました。

clearすると、ℚ(ζ)/ℚに戻り、生成元の選択にはℚ(ζ)/ℚの全部の自己同型写像が表示されます。この写像のどれかから始めて全部が巡回群としてでてくれば、2段階目以降が必要ないわけです。そうなるように設計されています。3段全部を使う必要はありません。

逆に4段という回答例もあるかもしれませんが、3段で累巡回拡大になっている例がわかっているので、3段までで止めました。

だったら自動で探せないかな

結局いくつかの巡回群の積で全部の自己同型写像が1つずつ出せるならそれでよいということなので、プログラムを使って力技で見つけ出せそうですね。