体育館一本マイクのメンテナンス

目次

点検手順

軽微と思われるときは遠くから点検します。前回の方針はこれ。

うまく行かないようなので、近くから遠くへ点検します。

(0)問題の確認

改めてLineを読んだら「故障している」「ブーと音がする時もある」ということで、故障の状況がつかめません。

そこで、マイクを持って正常な音が出るか確認して回る手順を書いてみました。重症で原因の予測が外れていたときに、開き直ってやる方法です。

以下、「音が出ない」には「雑音が入らないクリアな音が出ない」も含めて考えてください。

(1)正常なマイクの用意

学校のマイクには、標準プラグ接続と、キャノンプラグ接続の二種がありますが、今回のマイクは標準のものです。

どこでどの様に点検してもいいですが、正常に音の出る標準プラグのマイクを確保します。

放送室の新しいマイクを持っていくのは私なら避けます。

放送室の普段使っているマイクジャックを使って、確保したマイクの音を確認します。

(2)体育館アンプは健在?

(1)で確保したマイクを持って体育館に行きます。

体育館アンプも正常か不安ということなので、下図のマイク3入力ジャックに挿してマイク音量を上げ音を確認します。

もちろん、電源は入れてくださいね。左の出力ボタンは触らなくても良いはずですが、ここが全オフだと音が出ないこともあります。

すべてのジャックは長期の放置で表面に酸化膜がある可能性があります。挿してからグリグリ回転してください。マイク音量も何回か回してください。

今回は確か、ブーという音が加わっているということでしたので、それも含めて確認していきます。

(3)体育館アンプへの入力

マイク3が生きていても死んでいても、体育館一本マイクのアンプへの入力を確認しておきます。マイク3の入力がダメでも、1,2が使えればなんとかなります。

アンプの背面を見てください。これは2008年の写真です。2013年の写真もありますが、ピントが良くないのでこちらで説明します。

写真ではマイク1とマイク2が使われていますが、このときはワイヤレスのチューナをマイク2につないでいます。マイク1が一本マイクからの接続です。

2013年はワイヤレスの接続方法が変更になってマイク2に一本マイクが繋がっている状態になっていました。

確認しましょう。刺さっているコードをたどってください。下図の「常用マイク」に繋がっているのが一本マイクです。

アンプの背面に戻ります。繋がっていたのが「マイク2」だったとしましょう。それを一旦外して、(1)のマイクを挿します。グリグリ回転を忘れずに。アンプの表面のマイク2の音量も動かしながら音が出るか試します。

音が出ればOK。出なければマイク1も試してみましょう。マイク2がダメでもマイク1が使えれば応急処置できます。

それでも出なければ、アンプの故障ないしはスピーカとその配線を疑うことになります。

アンプ故障でも、マイク部分だけなのか、ライン系統もダメなのかいろいろ考えられますがラインがダメということは全部の行事が止まって大騒ぎになるはずなので、今回そんなはずはないと思っています。

この先は、音が出たという仮定で進めます。出ない場合は別のページに分岐して書き足すことにします。

(4)接続コードのチェック

アンプのマイク2入力ジャックと壁の常用マイク入力ジャックとを繋いでいたコードを戻します。つまり繋ぎます。

音量は適度に上げて置きます。(0でなければ半分以下でもいいでしょう)

グリグリ回転は両端でやってください。パチッとかザリザリとかブーの音のあるか、ないかにも注意します。

コネクタ部分の接触不良が一番起こりやすい原因ですが、コードの断線も考えられます。

一人ではここでマイクで声を出してみることができませんから、雑音がただ一つの手がかりです。

ここの結果は保留のまま次に進みます

(5)壁内配線のチェック

(1)のマイクを持って、はしごを降ります。ステージ上手、図の赤い四角の入力ジャックに常用マイクと書いてあるはず。

ここに(1)のマイクを挿します。グリグリ回転を忘れずに。音が出るか試します。

音が出るなら、つぎへ進みます。

音が出ない場合、問題は(4)の接続コードか、(5)の壁内配線です。

壁内配線は私が着任したときにはありましたから、40年以上です。コネクタの傷み、特にプラグに力がかかって断線などが生じますし、長年の湿気で中の金属や半田部分が腐食することもあります。

もう一つ。ステージにトライアック(だったかな)という素子を使った調光設備を藤田先生が導入した結果(この導入は私の着任の直前らしい)激しいノイズがマイクに入るようになりました。チリチリとかジーというノイズです。素子がスイッチを繰り返して流れる電流を抑えることで暗くするという調光です。この設備は家庭用の安価なものだったために発熱に依る劣化で現在は使っていないはずです。ステージ上手袖のスライドさせて調節する手元ランプがただ一つ残っています。

この調光ノイズを防ぐために体育館のマイクをバランス配線にし、ケーブルは4芯配線を使い、キャノンコネクタを使うことにしました。バランスで4芯でキャノンの3ピンコネクタで数が合わないと思われるかもしれません。4芯は2本ずつペアで使って、LANケーブルのようなツイスト構造で電磁波をキャンセルします。2ペアでプラスとマイナスの配線を公平に配線するのがバランスで、シールド(アース)と合わせて3線の配線になっています。非バランスはマイナスとシールド(アース)が兼用になって2線の配線です。3線の配線をそれぞれ接続するためにキャノンコネクタを使います。

体育館のマイク配線は、一本マイクだけ例外で、その他は、壁内も、延長コード(両側がキャノンになっている)も、8本のケーブルを束ねてホースのようになっているマルチケーブルも、全部4芯線です。業者の中にはこれを知らない人もいますから、修理や追加購入には注意が必要です。今の自乗走りませんが、当時は普通の学校でこのような設備はなく、市民会館などのホールや大規模なライブ会場の設営のための性能です。

一本マイクだけは従来どおりの、アンバランス1芯のシールドケーブルで標準プラグという、普通の仕様です。ノイズが合っても構わない準備や後片付けに使用し、行事が始まったら切ってしまいます。

礼拝堂や放送室はノイズ源がないのでアンバランス1芯のシールドケーブルで標準プラグです。

さて、この時点で音が出ないなら、はしごを登ってアンプと壁面のジャックをつなぐケーブルを別のものと交換してみましょう。それでもダメなら、連絡ください。

(6)延長コードとマイク

音が出たら、ステージの壁の入力ジャックから、普段使っているマイクまでの配線を見ます。

この配線は今どうなっているかさっぱりわかりませんが、上の写真では延長コード一本とマイクが一本です。

今もこうなっているものとして書いていきます。

壁の入力ジャックに延長コードを挿します。例によってグリグリ。

延長コードの先を(1)のマイクと差し替えてぐりぐりして音を出してみます。

音が出れば原因はマイク(か接触不良がぐりぐりで解消されたかどっちか)、音がなければ原因はほぼ延長コードです。

コードの修理も試みてもいいですが、交換も考えましょう。このコードはもちろんアンバランス1芯のシールドケーブル(つまり普通のシールドケーブル)です。

音が出るのてあれば、元のマイクをつけてぐりぐりして音を出してみます。これでダメになるのならマイクを交換します。

このマイクは人のいない体育館に放置されますから、乱暴に扱われて故障したり、盗難の可能性もありますから、歴代、無くなっても惜しくない古い退役直前のマイクが使われています。延長コードも重たいものの下敷きになって内部で断線という危険もあるので、これも古いものを使っていました。

最後に

あちこち写真をとって送ってください。

「故障」だけではわかりません。情報をたくさんください。